『神の守り人〈上〉来訪編』上橋菜穂

神の守り人〈上〉来訪編 (新潮文庫)

神の守り人〈上〉来訪編 (新潮文庫)

女用心棒バルサは逡巡の末、人買いの手から幼い兄妹を助けてしまう。ふたりには恐ろしい秘密が隠されていた。ロタ王国を揺るがす力を秘めた少女アスラを巡り、“猟犬”と呼ばれる呪術師たちが動き出す。タンダの身を案じながらも、アスラを守って逃げるバルサ。追いすがる“猟犬”たち。バルサは幼い頃から培った逃亡の技と経験を頼りに、陰謀と裏切りの闇の中をひたすら駆け抜ける。

面白いというよりは今までより小難しい。まだ上巻しか読んでないけど一旦ここまでの感想を。

以下wikipediaからあらすじ引用。

秋ごとの「ヨゴの草市」に行くタンダにつきあって、ロタ王国との国境に近い宿場町を訪れたバルサは、そこで人買いに連れられた兄妹に出会う。彼らはロタでは忌み嫌われる〈タルの民〉の子供だった。偶然にもバルサたちと同じ宿に泊まった人買いたちは、目に見えぬ何者かにのどを切り裂かれて死に、兄チキサもバルサも傷を負うが、妹アスラは無傷で気絶していた。さらに宿で火事が起こり、バルサはさらわれかけたアスラを救うが、タンダとチキサはとらわれる。 兄妹を追っているのは、タンダの知り合いでロタの呪術師スファルとその娘シハナだった。はるか昔、タルの民の娘が、血を好む残酷な鬼神タルハマヤを宿して〈サーダ・タルハマヤ〉となり、全ロタ人を恐怖の圧政で支配したこと、そして幾百年を経た今、その恐ろしき神が少女アスラを通り道として束の間現われたことを、スファルはタンダに語る。ゆえにアスラは消されねばならないのだと。だが〈サーダ・タルハマヤ〉の再臨を望む者たちもまた、ロタ王国に網を巡らしていた。

アスラ自身は何もしていないのに、タルハマヤを宿しているというだけで危険因子とみなされ、命を狙われるというのがかわいそうでかわいそうで。タルハマヤが表に出てくれば大勢の命が犠牲になる、それを食い止めるためにアスラを殺すしかないというロタ王国の言い分もわかる。一方でタンダたちのように悪いのはタルハマヤだからアスラを殺すなんて間違っている、というのもわかる。どっちも間違ってないんですよね。だからこそ難しい。どっちに転がっても後味悪い。自分だってタルハマヤを一瞬でも目の当たりにして震えているのに、それでもアスラを助けたいと、そのために即行動できるバルサとタンダは本当に強いと思いました。一時の感情でアスラを助けたとしてもその後どうやって面倒みていくのか、タルハマヤが出てきたらどうするのか、と課題が山積みにもかかわらず、助けると判断したこの二人は偽善ではなく本当にいい人たちすぎる。アスラがタルハマヤを利用して悪に染まりきっていたなら割り切れただろうに、実際は心優しい素直でいい子というのがもういたたまれない気持ちになりました。ただ純粋なだけに狂った母親の言葉を信じ、タルハマヤは自分を守ってくれるいい神様だと思い込んだり、タルハマヤに殺された人たちを見ても、悪いやつだから死んで当然と考えてしまうところ、少しずれている危うさにぞっとしました。それでもバルサと行動をともにするうちに、タルハマヤは出しちゃだめだという考えにシフトしていってるので、まだ心は完全にぶっ飛んでないと思いたいところですが、タルハマヤを出した直後は悪者をやっつけたぞという快感に酔いしれているようで、死体だらけの光景をみて微笑してるので、やっぱりタルハマヤ自体をアスラから切り離さないかぎりはどこか壊れたまま感が否めません。そんな感じで上巻はおわり。「命を助けるだけじゃだめだ」というバルサの言葉。下巻でタルハマヤがどうなっていくのか気になるところです。